クリニックコラム

公開日 2026.02.12 更新日 2026.02.12

【甲状腺機能亢進症の真実1】 見逃せない初期症状

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰な合成・分泌により、全身の代謝が異常に高まり、さまざまな症状が現れる病気です。

 

特に頻度が高いのは、動悸や息切れ、体重減少、多汗、暑がり、手の震え、イライラする、食欲亢進、軟便・下痢などが見られ、日常生活に影響を与えます。

 

働き盛りの世代や女性に多く発症し、早期発見と治療が大切です。

 

本記事では、甲状腺機能亢進症の基本的な理解から、原因、初期症状までを詳しく解説します。

 

気になる症状を感じた際に、早期対応の重要性についても触れます。

甲状腺機能亢進症とは何か

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰な合成・分泌により全身の代謝が異常に高まる病状です。

 

この病気が進行すると、動悸や息切れ、体重減少、多汗、手の震え、イライラする、食欲亢進、軟便・下痢などが現れ、日常生活に支障をきたします。

 

詳細について以下で説明します。

甲状腺機能亢進症の基本的な理解

甲状腺機能亢進症とは、体内の甲状腺ホルモンが必要以上に多く作られる状態を指します。

 

甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝やエネルギーの使われ方を調整する大切な役割を持っています。

 

そのため、このホルモンが血液中で過剰になると、心臓がドキドキしたり、体重が減ったり、汗をかきやすくなるなどの症状が現れやすくなります。

 

「最近、なんとなく疲れやすい」と感じている場合、実はこの病気が隠れている場合もあるでしょう。

 

特に女性に多く見られ、20代から40代の働き盛りの世代で発症することがあります。

 

放置すると心臓や骨など全身に影響が及ぶため、早期発見と治療が重要です。

バセドウ病との関連性

甲状腺機能亢進症のおもな原因である病気として、バセドウ病が挙げられます。

 

バセドウ病は、体の免疫が誤って自分の甲状腺を攻撃し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで発症します。

 

バセドウ病は甲状腺機能亢進症の最も多い原因の一つです。

 

バセドウ病は20代から40代の女性に多く見られ、動悸や体重減少、手の震え、目の症状などが現れやすい特徴があります。

 

特に目が前に出てくるような症状(眼球突出)は、バセドウ病に特有です。

 

甲状腺機能亢進症と診断された場合、バセドウ病が背景にあるかどうかを医師が詳しく調べる必要があります。

甲状腺機能亢進症の原因

甲状腺機能亢進症の原因は様々で、患者一人ひとりの背景によって異なります。

 

原因を正しく特定することは、適切な治療法や再発防止に役立ちます。

 

原因が異なれば、治療法や生活上の注意点も変わるため、早期の診断が重要です。

 

以下で詳しく解説します。

自己免疫疾患による影響

甲状腺機能亢進症の原因の一つとして、自己免疫疾患の影響が挙げられます。

 

自己免疫疾患とは、本来外敵から体を守るはずの免疫の働きが、自分自身の体の一部を誤って攻撃してしまう状態のことです。

 

代表的なものがバセドウ病で、これは免疫細胞がつくる刺激物質が甲状腺を刺激することで、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう仕組みです。

 

こうした仕組みは遺伝やストレス、環境要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。

甲状腺腫瘍とその影響

甲状腺腫瘍が原因で甲状腺機能亢進症を発症する場合、腫瘍によって甲状腺ホルモンが過剰に作られることが主な原因です。

 

甲状腺腫瘍には、良性と悪性があり、良性の場合でもホルモンの分泌が活発になると、動悸や手の震え、体重減少といった症状が現れます。

 

悪性腫瘍の場合は、しこりが急に大きくなったり、声がかすれたりすることもあるため注意が必要です。

 

腫瘍の存在が疑われる場合は、早めに医療機関で検査を受けることが重要です。

 

超音波検査や血液検査、細胞診検査で腫瘍の性質やホルモンの状態を確認できるため、自己判断せず専門医に相談しましょう。

一過性の甲状腺機能亢進症

一過性の甲状腺機能亢進症とは、一時的に甲状腺ホルモンが過剰になる状態を指します。

 

これは慢性的な病気とは異なり、自然に症状が落ち着く場合が多いのが特徴です。

 

たとえば、ウイルス感染やヒト白血球抗原(HLA)の型との関連が示唆される「亜急性甲状腺炎」や、出産後に見られる「出産後甲状腺炎」、無痛性甲状腺炎が代表的です。

 

これらの場合、発熱やのどの痛み、動悸、倦怠感、体重減少などが現れることがあります。

 

多くは数週間から数か月で回復しますが、まれに症状が長引くこともあるため、自己判断で放置せず医療機関を受診することが大切です。

見逃せない甲状腺機能亢進症の初期症状

甲状腺機能亢進症の初期症状は、日常生活で見過ごされがちです。

 

体重減少、動悸や息切れ、発汗の増加、手の震え、イライラ感、食欲亢進、軟便・下痢などが代表的な症状で、これらはストレスや加齢、生活習慣や環境の変化と間違われやすい場合があります。

 

そのため、体調に違和感を覚えたら、甲状腺機能亢進症の可能性を考慮し、注意深く観察することが大切です。

 

以下で詳しく解説していきます。

初期症状のサインとその重要性

甲状腺機能亢進症の初期症状は、早期発見がとても大切です。

 

なぜなら、初期の段階で気づいて適切な治療を始めれば、症状の悪化や合併症を防ぐことができるからです。

 

例えば、動悸が続く、汗をかきやすい、手が震える、体重が急に減るといった変化は、見逃しやすいですが重要なサインです。

 

もし複数の症状が重なる場合や、いつもと違う体調の変化に気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。

 

初期症状を見逃さず、早期に対処することが健康維持の鍵となります。

受診のタイミングと注意点

甲状腺機能亢進症が疑われる場合、早期に受診することが重要です。

 

特に動悸や息切れ、体重減少、多汗、手の震え、イライラする、食欲亢進、軟便・下痢などの症状のいくつかが重なるときに受診してください。

 

日常的なだるさや不調を「年齢のせい」と見過ごすことが多いため、早期に気づき受診することが症状の悪化を防ぎます。

 

受診時には、症状の経過や体調の変化をメモしておくことで、診察がスムーズに進みます。

 

早期発見のため、日ごろから体重のチェックや便通の状態、適度な運動など体調を管理しましょう。

甲状腺機能亢進症の治療法

甲状腺機能亢進症の治療法は、患者の症状や原因、年齢、合併症の有無などを考慮し、最適な方法を選択することが重要です。

 

適切な治療を受けることで、日常生活への影響を最小限に抑え、健康を維持できる可能性が高まります。

 

治療法については別のコラムで詳しく解説します。

甲状腺機能亢進症に関するよくある質問

甲状腺機能亢進症に関する質問は多く寄せられています。

 

特に、症状が日常生活に与える影響や、治療中の注意点についての不安があります。

 

甲状腺機能亢進症は、年齢や性別、ライフステージによって異なる注意点があり、挙児希望のある女性、妊婦や高齢者においては特別な配慮が必要です。

 

正しい知識を持つことで、早期発見や適切な対応が可能になります。

 

以下で詳しく解説します。

甲状腺機能亢進症と妊娠の関係

甲状腺機能亢進症は妊娠に大きな影響を及ぼすため、妊娠を希望する方や妊娠中の方は注意が必要です。

 

なぜなら、甲状腺ホルモンの過剰な分泌が流産や早産、胎児の発育不全につながることがあるからです。

 

妊娠前に甲状腺機能を調べておくこと、妊娠初期に血液検査を受けてホルモン値を確認することが重要です。

 

治療薬の中には妊娠初期に望ましくないものもあるため、妊活を始める前に主治医とよく相談し、適切な治療方法を選択しましょう。

高齢者における甲状腺機能亢進症の注意点

高齢者における甲状腺機能亢進症は、症状が他の病気と似ていることが多く、見逃されやすい点が大きな注意点です。

 

「年齢のせいかもしれない」と感じてしまう動悸や息切れ、体重減少、筋力低下、イライラ感、食欲の変化などが、実は甲状腺機能亢進症の初期症状である場合も少なくありません。

 

高齢者の場合、典型的な症状が現れにくく、うつ状態や認知機能の低下として現れることもあります。

 

こうした変化を年齢によるものと決めつけず、気になる症状が続く場合は早めに専門医を受診しましょう。

 

特に心臓疾患や骨粗しょう症のリスクが高まるため、定期的な検査や医師の指導を受けることが重要です。

まとめ:甲状腺機能亢進症の症状を見逃さないために

甲状腺機能亢進症は、早期に診断し適切な治療を受けることが症状の進行を防ぐ鍵となります。

 

薬物療法や放射性ヨウ素治療、手術療法など、患者一人ひとりに適した治療法が選択されます。

 

生活習慣を見直すことや、定期的に医師の診察を受けることも、症状の軽減に繋がります。

 

症状に気づいた段階での早期対応が、健康維持に重要であることを覚えておきましょう。

 

この記事の監修者

平岩 哲也

平岩 哲也

ひらいわクリニック

院長

プロフィール

甲状腺はとても小さな臓器でありながら、全身の臓器に影響をおよぼすホルモンを合成しています。そして、自己免疫疾患によりそのホルモンの異常をきたし、良性・悪性の腫瘤性病変も発生します。また、治療も薬物療法、放射線治療、手術と多彩で、内科医がその選択に大きく関わります。そうしたところに興味を覚え、専門とし研鑽を積んできました。今後は弊院スタッフとともに皆さまの健康に資するべく、高いレベルの内分泌代謝疾患診療を継続的に提供し、医療現場でのホスピタリティを培って社会に貢献してまいります。

経歴

平成8年 大阪医科大学(※1)卒業

平成8年~平成11年 名古屋大学附属病院、名古屋記念病院勤務

平成11年~ 大阪医科大学附属病院(※2)第一内科学教室入局

平成12年~平成14年 神甲会隈病院勤務

平成16年~平成24年 大阪医科大学附属病院(※2)第一内科 任期付助手→助教

平成24年5月 ひらいわクリニックを大阪府茨木市大手町に新規開院

令和6年8月 茨木市西中条町に移転拡張リニューアル

現在に至る

(※1)現 大阪医科薬科大学 (※2)現 大阪医科薬科大学病院

所属学会・認定医

日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医・評議員

日本甲状腺学会認定専門医・評議員

医学博士

この記事の監修者

荘野 輝美

荘野 輝美

医師

プロフィール

患者さん一人ひとりの不安に寄り添い、わかりやすい説明と丁寧な診療を心がけています。 甲状腺の病気は、長く付き合っていく必要がある場合も少なくありません。 安心してご相談いただける、身近な専門クリニックを目指し、日々診療に取り組んでまいります。

経歴

平成27年 関西医科大学 卒業

平成27年~平成29年 大阪医科大学附属病院にて臨床研修

平成29年~ 大阪医科大学(※1)第一内科学教室入局

平成30年~令和2年 市立ひらかた病院 勤務

令和2年~令和6年 大阪医科大学附属病院(※2)勤務

令和6年4月 ひらいわクリニック 勤務

現在に至る

(※1)現 大阪医科薬科大学 (※2)現 大阪医科薬科大学病院

所属学会・認定医

内科認定医

臨床研修指導医

日本糖尿病学会専門医

日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

認定産業医

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